こんにちは。cueです。
読者は、
「コリオリの力」
という言葉を聞いたことはありますか?
このコリオリの力の影響で、北半球では台風の渦が左回りになり、
南半球では右回りの向きになるそうです。
今回は、この「コリオリ力」について、
その仕組みをわかりやすく簡単に説明していきたいと思います。
それでは、よろしくお願いします。
コリオリの力とは?台風の渦の向きをわかりやすく簡単に説明。
コリオリの力とは?
コリオリの力とは、
にはたらく見かけの力のことで、フランスの科学者、ガスパール=ギュスターヴ・コリオリによって提唱されました。
台風の渦が北半球で左回りになったり、長距離で撃った砲弾が標的よりわずかにずれたりするのは、
この力の作用によるものです。
コリオリの力の仕組み
それでは、なぜこのような力がはたらくのか、その仕組みを見ていきましょう。
コリオリの力は、「慣性力」と呼ばれる力の一種なのですが、
慣性とは、物体が今までと同じ動きを続けようとする性質のことです。
例えば、電車に乗っているとき、
ということは、誰しも経験したことがあると思います。
コリオリの力がはたらく原理も、この仕組みによく似ています。
地球は1日に1回、自転しています。
また、地球は球の形をしているため、緯度が高くなるほど地球を1周する距離が短くなります。
そのため、高緯度の地域ほど、地球が回転するスピードが遅くなるのです。
自転の向きは西から東ですので、先ほどの例で、西から東に進んでいる電車を想像してください。
その電車の中に風が乗っているとします。
風が低緯度から高緯度に向かうとき、地球の回転速度は遅くなっていきますから、
電車がブレーキをかけたようなもので、風は東向きの力を受けます。
一方、風が高緯度から低緯度に向かうときは、地球の回転速度が速くなっていきますから、
電車が加速したのと同じ状況になり、風は西向きの力を受けるのです。
図による説明
ここで、コリオリの力をよりイメージできるよう、図を用いて解説していきます。
画用紙に北半球を描きました。
地球を上から見た図になりますので、円の中心が北極、赤い円周が赤道を表しています。
地球は西から東に自転するので、時間の経過とともに、図が反時計回りに回転していきます。
ここでは、北極から赤道に向かって真南に進む風を考えたいと思います。
最初の図から2時間が経過しました。
地球は1時間で15度自転するので、図が30度回転しています。
この時、風が緯度で15度南下したとすると、風は図の青い点の位置までやってきます。*1
さらに2時間が経過しました。
風は、二つ目の青い点の位置まで南下しています。
このようにして、次々と点を取り、最後にこれらを滑らかな曲線で結びます。
本来、北極から赤道に向かってまっすぐ南下していたはずの風が、
地球の自転の影響で、ずいぶん西にそれてしまいました。
もちろん、これは地上から見たときの風の見かけの動きであり、宇宙から観察したときは、
風はきちんと直進しているように見えます。
*1 この風の時速は830kmぐらいになります。実際の台風の風速は時速130kmぐらいですが、わかりやすさを優先しました。
コリオリの力と台風の渦の向きとの関係
さて、コリオリの力がどのようなものかは分かりましたが、
これが台風の渦の向きとどのように関係しているのでしょうか。
まず台風とは、東南アジアの熱帯地方で発生した熱帯低気圧のうち、
最大風速が秒速17.2m以上(時速61.9km以上)になったものを指します。
このように、台風は「低気圧」ですから、中心付近では上昇気流が発生し、
周囲から風が吹きこんでいます。
もし、地球が自転しておらず、コリオリの力が生じていなければ、低気圧付近の風は図のように吹きこむはずです。
しかし、前に述べたように、低緯度から高緯度へ吹く風には東向き、
高緯度から低緯度に吹く風には西向きのコリオリ力が加わりますから、
台風は図のように左回りの渦となるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
台風の渦の向きには、コリオリの力や地球の自転が深く関係していたのです。
ちなみに、北緯30~60度の中緯度帯に吹いている南風は、
コリオリの力によって東に曲げられ、強い西風となります。
これが偏西風というわけです。
偏西風が特に強い場所は「ジェット気流」と呼ばれ、航空機はこれを利用したり、
避けたりしながら飛行しています。
それでは、今回はこの辺で。
どうも、ありがとうございました!
おすすめ記事