毛細管現象とは?原理と永久機関が作れない理由をわかりやすく解説

水を入れたコップの中に、細く束ねたティッシュを入れると、水は重力に逆らいティッシュをのぼっていきます。

これは、

「毛細管現象」

と呼ばれるものですが、どうしてこのような現象が起こるのでしょうか。

また、重力に逆らって水を持ち上げることができるのなら、それを水車に落として発電し、

落ちた水を再び毛細管現象で持ち上げることで、永久機関が作れそうです。

今回は、

・毛細管現象とは何か?
・毛細管現象の原理
・毛細管現象で永久機関が作れない理由

についてお話したいと思います。

毛細管現象を理解するためには、「表面張力」の知識が必要です。
以下の記事で、表面張力についてわかりやすく解説していますので、
「表面張力を知らない」という方は、まずはこちらの記事からお読みください。

表面張力とは?原理を子供にもわかりやすく簡単に解説。

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毛細管現象とは?原理と永久機関が作れない理由をわかりやすく解説

毛細管現象とは何か?

毛細管現象とは、細い管(毛細管)の中の液体が、管を上昇したり、下降したりする現象です。

毛細管現象は私たちにとても身近な現象で、以下のような場面で観察することができます。

・ストローやタオルを水につけると、水面より高い位置まで水がのぼってくる。
・植物の体には「道管」という細い管があり、毛細管現象を利用して水を吸い上げている。
・万年筆は、インクが細い溝を伝わってペン先に送られる。
・霜柱は、土の中の水分が毛細管現象で上昇しながら凍ったものである。
・ろうそくは、炎によってとかされた「ろう」が毛細管現象で芯をのぼってきて燃えている。
・雨水が毛細管現象で屋内に侵入し、雨漏りや漏電を引き起こすことがある。

毛細管現象の原理

次に、毛細管現象がどのような原理で起きているのかを見ていきましょう。

ここでは細いガラス管の中の水の動きについて考えます。

ガラス管の水面を観察すると、水平になっているわけではなく、

ふちが少しせり上がっていることが分かります。

これは、「水とガラス」が大変濡れやすい組み合わせであるため、

水がより多くの面積でガラスと触れようとするからです。

ふちがせり上がった水面

水は、水分子という非常に小さな粒の集まりで、水分子どうしは「分子間力」という力で互いに引っ張り合っています。

その結果、水は表面積が最も小さい球形になろうとし(表面張力)

この表面張力の影響で水面はせり上がったふちに引っ張られ、上昇します。

(真ん中がたるんだ「ひも」を両端から引っ張ると、たるんだ部分が上に持ち上がり、全体がぴんと張るようなイメージです)

表面張力により、水面全体が上昇

水面が上昇すると、それに合わせてふちが再びせり上がります。

すると、表面張力で水面が上昇して……の繰り返しです。

最終的には、持ち上がった液体の重さと表面張力がつり合う所まで水面は上昇します。

ガラス管が細ければ細いほど、持ち上がった水の重さは軽くなるので、より高い位置まで水が移動するわけです。

持ち上がった液体の重さと表面張力がつり合うまで上昇する。

毛細管現象で永久機関が作れない理由

永久機関とは、外部からエネルギーを与えなくても仕事をし続ける装置のことです。

これが実現すれば、石油も石炭も不要になり、世界のエネルギー問題はあっと言う間に解決してしまうでしょう。

ところが、この永久機関、18世紀末には実現不可能であることが明らかになりました。

読者の中には、このように考えた人もいるはずです。

「毛細管現象で水を持ち上げ、それを落下させて水車を回し、再び水を毛細管現象で持ち上げれば永久機関が作れるのではないか」

と。

もちろん、この考えは間違っているのですが、なぜ毛細管現象を利用した永久機関が実現できないのか、

その理由を探ってみたいと思います。

毛細管現象による永久機関

読者が想像したのはこのような永久機関ではありませんか?

ボイルの永久機関

これは、「ボイルの永久機関」と呼ばれるもので、「ボイルの法則(気体の体積は圧力に反比例する)」で有名な、

ロバート・ボイルによって考案されました。

「百聞は一見に如かず」

と言いますから、この装置がどのような動作をするのか、まずは読者にご覧いただきましょう。

Robert Boyle' Flask

いかがでしたか。

水やりんごジュースといったエネルギーを持たない液体では、液体が水面と同じ高さまでしか上昇しないため、

持ち上げた液体を再びフラスコに注ぐことができないのです。

液体自体にエネルギーがあるコーラやビールでは、初めはうまくいきますが、

炭酸が抜けてしまえば、やはり動きが止まってしまいますので、永久機関にはならないわけです。

ティッシュによる永久機関の実験

読者は、先ほどの説明で毛細管現象を利用した永久機関が作れないことに納得できましたか?

私、管理人cueは納得できませんでした。

そもそも、(ボイルの永久機関は)管が太くて毛細管じゃないし、

実際ティッシュは水面より高い位置まで水を持ち上げてるだろ。

と。

そこで、管理人がティッシュを用いた新たな永久機関を発明しましたよ。

それが、こちら。

ティッシュを用いた永久機関1

どうですか。

この装置であれば、ティッシュは確実に水を水面より高い位置まで持ち上げてくれます。

そして、ティッシュの先から水が水面にしたたり落ちれば晴れて永久機関の完成です。

ところがですね……

実を言いますと……

「ティッシュの先から水が落ちてくることはありませんでした!」

何分待っても。

どうやら、水を注ぐ部分の長さが水を吸い上げる部分の長さより長くならないと(=注ぎ口が水面より下にこないと)、

水は垂れてこないようですね。

ティッシュを用いた永久機関2

ですので、この写真のように、ティッシュの先を水面より低くしてあげれば、ポタポタとしずくが落ちてきました。

これは管理人の推測になってしまうのですが、

滑車につるしたおもりと同じで、左側が重ければ左に下がるし、右側が重ければ右に下がる、ということなのだと思います。

左の水の方が重いので水は落ちてこない。

右の水の方が重いので水は流れ落ちる。

まとめ

以上で、解説は終了です。

毛細管現象について理解できましたでしょうか。

本ブログでは、ほかにも理科の現象を説明した記事がありますので、

よろしかったら、そちらもあわせてご覧ください。

最後までお読みくださり、感謝いたします。

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