7月7日は七夕ですね。
七夕祭りに行くと、笹の葉の短冊に面白い願い事が書いてないか、思わず探してしまいます。
幼い女の子が、
「プリキュアになりたい」
と書いていれば、「おぉ、頑張れ(←適当)」と思いますし、
「お父さんの仕事が早く見つかりますように」
とお願いしていれば、「大変なんだなぁ…」と胸が痛みます。
それで、この短冊の色なんですが、
「陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)」
という古代中国の思想の影響で5色になっています。
今回はこの「陰陽五行説」について、わかりやすく解説したいと思います。
陰陽五行説とは
陰陽五行説とは、古代中国の「陰陽思想」と「五行思想」が合わさってできた思想です。
陰陽思想とは
陰陽思想とは、ざっくり言うと、
「世の中のあらゆる物は陰と陽の二つの気からできている」
という考え方のことです。
陽の気は、
といったイメージで、
などが属しています。
一方、陰の気は、
といったイメージで、
などが属しています。
女性の皆さん、重くて腹黒いカテゴリーに分類されたからといって怒らないでください。
これらは全て古代中国の思想家の責任です(笑)
ここで重要なのは、「陽=善」「陰=悪」ではないということです。
陰陽思想では、陰陽のうち一方が存在しなければ他方も存在せず、
この二気のバランスで世界が成り立っていると考えるのです。
五行思想とは
木火土金水と色・季節・方角・五徳
次に五行思想のほうですが、こちらも古代中国の思想で、
「あらゆる物は、”木・火・土・金・水” の5つの元素からなる」
という考え方です。
紀元前300年頃、昔からあった陰陽思想をもとに鄒衍(すうえん)が唱え始めました。
この五行と色、季節等の関係を以下に表でまとめておきます。
五行 | 性質 | 色 | 季節 | 方角 | 五徳(五常) |
---|---|---|---|---|---|
木(もく) | 樹木が成長する様子を表す。 | 青(緑) | 春 | 東 | 仁 |
火(か) | 火が燃え盛る様子を表す。 | 赤 | 夏 | 南 | 礼 |
土(ど) | 土壌から芽が出る様子を表す。 | 黄 | 土用*1 | 中 | 信 |
金(ごん) | 金属のように冷たく硬い様子を表す。 | 白 | 秋 | 西 | 義 |
水(すい) | 泉から水が湧き出る様子を表す。 | 黒(紫) | 冬 | 北 | 智 |
*1 土用 … 四立(しりゅう、立春・立夏・立秋・立冬)の直前の約18日間ずつ。
余談ですが、五行の一つである「木」が「青」と「春」を表すことから、
「青春」という言葉が生まれました。
相生と相剋
五行思想の大きな特徴として、
「五行の5つの要素が互いに影響を与え合う」
というものがあります。
このうち、
・火が燃えた後は灰(=土)が生じる。
・土の中からは鉱物(=金属)が生じる。
・金属の表面には凝結した水が生じる。
・水を与えることで木が生じる。
といった相手を生み出し、強める陽の関係を「相生(そうせい)」と呼びます。
これに対して、
・土は水の流れをせき止める。
・水は火を消し止める。
・火は金属を溶かす。
・金属でできた斧や鋸は木を切り倒す。
といった相手を抑え、弱める陰の関係を「相剋(そうこく)」と呼びます。
じゃんけんでいう、「グー・チョキ・パー」のような関係ですね。
・じゃんけんの勝ち方。一対一や大人数でやるときの必勝法とは?
短冊や曜日、惑星との関係とまとめ
いかがでしたでしょうか。
七夕の短冊の色は五行を表す色に対応していたわけですね。
(ただし、黒はお祭りには合わないので、代わりに紫が使われています)
鯉のぼりの吹き流しが五色なのも同じ理由です。
太陽系の惑星のうち、「水星・金星・火星・木星・土星」の5つの星は肉眼でも観察できるため、
古くからその存在が知られていました。
古代の人はこれらの惑星に五行を当てはめて「五星」とし、
これに太陽と月を加えたものが「七曜(しちよう)」で、
現在でも1週間の曜日の基本となっています。
陰陽五行説を知ることで、日本の伝統をより深く理解できると思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!