有効数字とは?物理で必須の掛け算や四捨五入の仕方を解説。

むか~し、昔、筆者は大学の理系学部の学生でした。

理系の学部の特徴として、

「レポートがめっちゃ多い」

というのがあります。

講義で教授から課されるちょっとしたものから、

実験の本格的なレポートまで、

それはそれはたくさんのレポートを書かされました。

それで、渾身の力で書き上げたレポートを提出すると、こう返ってくるんです。

有効数字を意識してください(再提出)」

と。

「うぉおおおおおおーー!有効数字って何だーー? そんなの学校で習ってねーぞーー!!」

と、当時の私は随分困ったものでした。

今回は、昔の私のように、有効数字でお悩みの方を対象に、

・有効数字とは何か?
・足し算や掛け算などの有効数字の計算方法
・有効数字n桁で答えるときの四捨五入の仕方

などについて解説いたします。

この機会に、物理や化学の計算で必須の有効数字の丸め方をぜひマスターしてください。

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告

有効数字とは?物理で必須の掛け算や四捨五入の仕方を解説

有効数字とは

例えば、以下のような目盛りで、物体の横の長さを測ったとします。

大ざっぱな目盛り

実験では目盛りの10分の1までは目分量で読まなければいけませんので、

図の場合、

「3.1cmぐらいかなぁ~」

ということになります。

この小数第1位の「1」の数字には誤差を含んでいるのですが、測定上は有効な数字として認められています。

ですので、上の例の場合、有効数字2桁(3と1)の数値」といいます。

次に、もう少し細かい目盛りで、同じ物体の横の長さを測ってみます。

細かい目盛り

今度も目盛りの10分の1まで目分量で読み取ると、

「3.14cmなんじゃね?」

と測定され、有効数字は3桁(3,1,4)になるのです。

このように、有効数字はその桁数が多ければ多いほど、より高い精度で測定していると言えるのです。

有効数字の桁数の数え方

先ほど測った「3.14cm」という数値ですが、単位を「m」で表すと、

「0.0314m」

です。

これは「有効数字5桁」と言えるのでしょうか?

……当たり前ですが、言えません。

そもそも、同じ目盛りで測定しているのに、単位を変えただけで精度が上がってしまうのはおかしな話です。

ですので、このようなケースでは、初めに連続している「0」は有効数字に含めず

「3」以下の3桁を有効数字として扱います。

次に、「3.14cm」の単位を「μm」で表してみましょう。

「31400μm」

となりますが、有効数字が何桁だか分からなくなってしまいますね。

そこで、このような場合では、指数表示を用いて

$$ 3.14 \times 10^4 \mathrm{({\mu}m)} $$

と記述すれば、有効数字の部分を明確に表現することができるのです。

有効数字の計算

それでは、ここから具体的な有効数字の計算法を見ていきましょう。

足し算と引き算

足し算と引き算では、有効数字の最後の数字が最も高い位にあるものに合わせます。

有効数字の足し算

例えば上の例の場合、赤が誤差を含んでいる数字になるので、

位の最も高い小数第1位に合わせるという意味です。

掛け算と割り算

掛け算と割り算では、有効数字の桁数が最も少ないものに合わせます。

有効数字の掛け算

例えば上の例の場合、赤が誤差を含んでいる数字になるので、

桁数の最も少ない2桁に合わせるという意味です。

有効数字n桁で答える場合

問題に、

「有効数字n桁で答えよ」

と指示がある場合は、少々複雑になります。

まず、途中の計算は n+1桁を残してあとは切り捨てます。

最後に n+1桁目を四捨五入し、n桁にするという手順です。

塩素の同位体相対質量と天然存在比

例えば、上のような表をもとに、「塩素の原子量を有効数字3桁で求めよ」という問題があったとします。

このときの計算は、以下のように行います。

$$ 34.969 \times 0.7576 = 26.4925144 $$ → 切り捨てて 26.49 に。

$$ 36.966 \times 0.2424 = 8.9605584 $$ → 切り捨てて 8.960 に。

$$ 26.49 + 8.960 = 35.450 $$ → 四捨五入して 35.5 に。

といった具合です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

高校の定期テストぐらいであれば、有効数字についてそれほど厳しく追求されないと思いますが、

大学の理系学部に進学した場合は、有効数字を正しく扱えるようになる必要があります。

とは言っても、慣れてしまえばそれほど難しくはありませんので、本記事を参考に、

実践での経験を積まれてみてください。

それでは、最後までお読みくださり、ありがとうございました!

おすすめの記事

酢酸の分子量の求め方。化学式から計算する方法をわかりやすく解説

放射性同位体とは何かを簡単に説明。炭素年代測定からα線まで。

関連コンテンツユニット
スポンサーリンク
レクタングル(大)広告
レクタングル(大)広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする