「著作権とは何か?」
をわかりやすく解説するシリーズ第2弾です。
前回は、著作権法の目的やどのようなものが著作物に当たるのかについて述べました。
今回は、著作者が有する2つの権利のうち、著作者人格権について、
主に解説していきたいと思いますが、1つだけ補足を。
前回、コンピュータプログラムも著作物に当たることをお伝えしましたが、
社員が仕事でプログラムを作成した場合、著作者は会社と社員のどちらになるのでしょうか?
これは、プログラムに限らず、会社の仕事で作成した著作物は、契約や勤務規則などで特別に決めない限り、著作権は会社のものになってしまいます。(第十五条)
特許権などと比べると、何だか不公平な気もしますが、優れた創造をした社員については、
会社が給与やボーナス、昇進で報いるべき、ということなんでしょうね。
それでは、今回もよろしくお願いします!
著作者人格権とは何か?
著作者の権利のうち、著作者人格権については、さらに、
・公表権
・氏名表示権
・同一性保持権
の3つに分かれますので、それぞれについて解説していきます。
公表権
第十八条 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
公表権とは、著作物を公表するかどうか、また公表する場合、
どのように公表するかを決定する権利です。
ちなみに、二次的著作物とは、
第二条 十一 二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。
ということで、例えば、外国の本を翻訳したものや、小説を映画化したものが挙げられます。
氏名表示権
第十九条 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。
氏名表示権とは、著作者が著作物に著作者名を表示するかしないか、
するなら本名かペンネームかを選択できる権利のことです。
同一性保持権
第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
同一性保持権とは、著作者の意に反して、著作物の内容やタイトルを変更されないという権利です。
よくあるのが、歌手が曲の歌詞を変えたり、替え歌を歌ったりして、
作詞者に訴えられる、というパターンですね。
ですので、替え歌を歌うなら、個人で楽しむ範囲にとどめるか、
著作者の許可を取るようにしましょう。
著作者人格権の一身専属性など
第五十九条 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
第六十条 著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。
ということで、著作者人格権は「一身専属権」であることが分かります。
一身専属権とは、権利が特定の人だけに属していて、譲渡*1や相続することができないものです。
しかし、相続できないからといって、著作者の死後、好き勝手に著作物を公表したり、
改変したりしてはならず、著作者の気持ちを尊重しなければならない、とされています。
*1 譲渡(じょうと) … あげたり、売ったりして他人にゆずること。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
著作者の権利のうち、著作者人格権についての理解が深まったかと思います。
個人的には、替え歌を歌っただけで、著作者人格権の侵害になってしまうことに驚きました。
次回は、いよいよ著作権について詳しく見ていく予定です。
引き続き、よろしくお願い申し上げます。