ある朝起きようとして寝返りを打つと、
天井が回っていました。
「ぐるぐ~る ま~わ~る~~♪」
ダンス~は、ど~こ~だ~っと。
「俺、何か重大な病気になっちゃったのかな?」
って思いました。
「働き過ぎで過労死するのかな?」って。
今、この記事を読んでくださっている読者の中にも、同じような症状で不安になっている方がいると思うので、今回は、
「寝返りを打った時に起こる回転性のめまい」
について書こうと思います。
■ 寝返りを打つと回転性のめまいがする。原因と対処法
▼ 中枢性めまいと末梢性めまい
「めまいがするので、病院に行こう」
と思ったときに、「果たして何科に行けばよいのか?」ということで悩みますよね。
その見分け方ですが、まず、めまいは大きく「中枢性めまい」と「末梢性めまい」に分けられるんです。
・中枢性めまい … 脳出血や脳梗塞、脳腫瘍が原因。激しい頭痛、顔や手足のしびれや麻痺、意識障害を伴う。
・末梢性めまい … 内耳の不調が原因。強い回転性のめまいがするが、めまい以外の神経症状は伴わない。
要するにですよ、
症状がめまいだけなら“末梢性めまい”なので耳鼻科、
めまい以外にしびれや麻痺があるなら“中枢性めまい”なので内科や脳外科、
ということです。(そんな大ざっぱな…)
仮に、中枢性めまいなのに耳鼻科に行ってしまったとしても、耳鼻科できちんと検査をしてくれるので安心してください。(ただ、「別の病院に行け」と言われて二度手間ですが…)
▼ めまいで最も多いのは、良性発作性頭位めまい症
それで僕の場合は、
「良性発作性頭位めまい症」
という病気だったんですね。
これは、末梢性めまいの一つで、めまいを訴える患者さんの中で最も多い症状だそうです。
● 診断
良性発作性頭位めまい症の診断はこうです。
まず、医師から“めまい”の起こり方を質問されます。
具体的には、
・どのぐらいの時間続くのか。
・どっち回りに回っているか。
3つ目の質問は答えにくかったですねー。
「回転の方向なんて重要なの?」
とそのときは思いましたが、実は原因の場所を特定するのに、メチャクチャ重要な質問なんですよー。
・耳鳴りがするか。
この辺は、中枢性めまいの可能性も考えているわけですね。
実際、聴力検査や「目をつぶってその場で行進する」といった(周囲から見たら“危ない人”と受け取られかねない)検査もありました。
そして、何より特徴的なのが、
「頭位変換眼振検査」
です。
これは、患者さんの頭を様々な方向に動かし、わざとめまいを起こさせて眼の揺れ(眼振)を確認するんですね。
検査の際には、「フレンツェル眼鏡」という患者さんの目を拡大する眼鏡が使われます。
これで観察すると、良性発作性頭位めまい症では、めまいと同じ回転性の眼振が現れるのです。
↑ ↑ ↑
医師から見るとこんな風に見えていたんですね。
こんな黄色のキャラクターをどこかで見た気がします…。
● 原因
では、この良性発作性頭位めまい症の原因は何なのでしょうか。
私達の耳の内耳には、耳石器と三半規管という器官があります。
三半規管は文字通り3個あって、それらが互いに直角になっており、中はリンパ液という液体で満たされています。
頭が動くとそのリンパ液も動くので、それを細胞で感じ取ることにより、人間は頭がどう動いているのかを認識することができるのです。(人の体ってよくできていますよねー)
ところが、この耳石器の中にある耳石(じせき)が、何らかの原因ではがれて三半規管の中に入ってしまうことがあるのです。
耳石は、炭酸カルシウムでできている小さな石で、医師いわく、
「ゴミみたいなもの」
だそうです。
三半規管に入り込んだ耳石は、人が頭を動かした際に三半規管の中をコロコロ転がり、中のリンパ液の流れを乱します。
すると人が頭の動きを止めてもリンパ液は揺れ続けているので、「頭が動いている」と脳が錯覚し、めまいが起こってしまうのです。
● 対処法
ということで、良性発作性頭位めまい症の場合、
三半規管に入ってしまった耳石が悪さをしているので、
その耳石を追い出せば、めまいを治すことができます。(治る病気で良かったー)
通常、めまいがするときは頭を動かさずに安静にしたくなるのですが、
良性発作性頭位めまい症の場合は、あえてめまいを起こすように積極的に頭を動かした方が治りが早いです。(安静にしてたら、耳石が出ていきませんからねぇ…)
それで、耳石を三半規管から取り除くための「エプリー法」という運動があるのでご紹介します。
以下は、右の耳が原因であるときのエプリー法のやり方です。(左の耳が原因のときは左右を反対にしてください)
2. 首を右に45度回して寝る。
3. 体はそのままで、首だけ左45度の位置に回す。
4. 首はひねったままにし、体全体で左に90度転がる。
5. 体と首の位置関係を保ったまま体を起こす。
以上の一連の流れを各動作30秒ずつで行ってください。
途中でめまいが生じますが、めまいが出たときは収まるまで姿勢を維持してください。
これが、本来のエプリー法の動作なのですが、医師いわく、
「布団の中で、寝たり起きたり、左右に寝返りを打ったりしてください」
と。
う~ん、「今までの私の説明は何だったのか」と思えるほど、エプリー法をあっさりと表現していますね…。
■ まとめ
以上が、良性発作性頭位めまい症の原因と対処法になります。
しかし、めまいには様々な原因がありますので、安易な判断をせず、
まずは医療機関を受診されてみてください。
また、同じ姿勢を長時間続けたり、運動不足になったりするとこの病気になりやすくなります。
普段から適度に体を動かす習慣を生活の中に取り入れたいものです。