著作権とは何か?を分かりやすく解説するシリーズ第5弾です。
著作権の種類もいよいよ大詰め。
今回は、残りの著作権を順番に見ていこうと思います。
ちなみに、前回までの記事をお読みになりたい方は以下からどうぞ。
- 著作権とは何か?をわかりやすく解説(1)法律の目的、著作物の定義
- 著作権とは何か?をわかりやすく解説(2)著作者人格権と替え歌の件
- 著作権とは何か?をわかりやすく解説(3)複製権、演奏権、上映権他
- 著作権とは何か?をわかりやすく解説(4)譲渡権、展示権、頒布権他
それでは、本日もよろしくお願いします!
著作権とは何か?
貸与権
第二十六条の三 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(略)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。
ということで、貸与権とは、映画以外の著作物をレンタルする権利ということになります。
具体的には、書籍や音楽CDのレンタルをイメージするとよいでしょう。
書籍のレンタルで気になるのは、漫画喫茶と図書館ですね。
これらの施設と貸与権との関係はどのようになっているのでしょうか。
まず、漫画喫茶については、客に本を貸し出しているわけではなく、店内で読ませているだけです。
そのため、飲食店や診療所に置いてある漫画と同じで、貸与権は及ばないというのが通説です。
しかし、現代のように、大型の複合カフェ*1が次々に登場し、お客さんがたくさんの漫画を読んでいるに、
著作権料がほとんど入らないのでは、著作者もたまったものではありません。
そのため、「日本複合カフェ協会」は、2003年、「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」や「日本雑誌協会」との間で「暫定合意」を取り交わしました。
これは、複合カフェが金銭を支払う代わりに、コミック作家や出版社は漫画喫茶に便宜を図るというものです。
こうした合意があるため、漫画喫茶と貸与権については、今のところ大きな問題とはなっていないようです。
*1 複合カフェ … インターネットや漫画の閲覧など、多様なサービスを提供するカフェ。
次に、図書館については、利用者が施設の中で本を閲覧するだけでなく、
実際に借りて自宅に持ち帰ることもできます。
ですので、著作権の範囲が及びそうですが、貸与権には以下のような制限があるのです。
第三十八条 4 公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(略)の貸与により公衆に提供することができる。
前回紹介した、口述権の制限と同じで、
のであれば、著作権者の許諾なしで貸し出すことができるのです。
翻訳権、翻案権等
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
翻訳とは、ある言語で書かれた文章を、別の言語で表現することです。
例えば、日本語で書かれた小説を、内容そのままに英語することなどを指します。
次に、編曲とは、メロディ(主旋律)にギターやベース、ドラムなどを加えて伴奏を付けることです。
昔、知り合いの編曲者の方が、
「作曲は誰にでもできる。編曲次第で曲のイメージはガラッと変わってしまう」
と言っていました。
続いて、変形とは、絵画を彫刻にしたり、写真を絵画にしたりして、異なる形で表現することです。
また、脚色とは、小説をドラマや映画で演じるため、セリフを加えて脚本にすることです。
映画化については、説明不要だと思うので、最後に翻案についてですが、
翻案とは、著作物の同一性を保ちつつ、表現方法を変えて、新たな創作を行うことです。
具体的には、小説をゲーム化したり、同一のキャラクターを用いて漫画の続編を創作したりする行為が含まれます。
こうして、翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、その他翻案することで作られた著作物を二次的著作物といいます(第二条 十一)。
著作者には、二次的著作物の創作を独占する権利が与えられているのです。
二次的著作物の利用に関する原著作者の権利
第二十八条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。
要するに、
「二次的著作物の原作者は、二次的著作物の著作者と同じ権利を持つ」
ということです。
ですので、二次的著作物を利用するときは、二次的著作物の著作者だけでなく、
原作者の許諾も必要になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回で、一通り著作権について解説することができました。
著作権法は、まだまだ条文が多くあり、奥が深いのですが、
連載も長くなってきたので、一旦ここで一区切りにしたいと思います。
もし、今後新たに著作権の問題に遭遇したり、連載が好評だったりしたときは、
続編を書くこともあるかもしれません。
それでは、読者の方も著作権を守って、著作物を正しく楽しんでください。
どうも、ありがとうございました!
コメント
素人
> ださん
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、私は法律の素人です。
ネットで調べたことを自分なりにまとめて記事にしましたが、間違えている部分も
あるかもしれません。
差し支えなければ、具体的にご指摘いただけますと、私も勉強になるので助かります。