小さなお子様がいらっしゃる方との会話で、こんな話題が出ることがあります。
「うちの子が溶連菌にかかってしまって…」
…ヨーレン菌?
ヤーレン ヨーレン ヨーレン ヨーレン ……
ハイ、ハイ~♪ ← 絶対違う
溶連菌とは、「溶血性連鎖球菌」と呼ばれる細菌のことで、
小学生ぐらいの子供に多い病気なのですが、
高齢や疲労で抵抗力が弱まっていると大人でも感染することがあります。
咳やくしゃみによって近くの人にうつる(飛沫感染)のが特徴で、
そのため、幼稚園や学校などの集団の場で感染してしまうお子様が多いようです。
今回は、この溶連菌に大人がかかった場合の症状や治療法、どれぐらい会社を(休めるのか)休まなければならないのかということについて書きたいと思います。
■ 症状
溶連菌の潜伏期間は、感染してから2~5日です。
溶連菌の症状は、発熱・嘔吐・首筋のリンパ節の腫れなど、風邪と似ていますが、咳や鼻水が出ない所が風邪と異なります。
その他、溶連菌に特徴的な症状は以下の通りです。
▼ のどの痛み
溶連菌は主にのどに感染して、咽頭炎(いんとうえん)・扁桃炎(へんとうえん)を起こします。
のどが真っ赤に腫れて、つばを飲み込むのも辛いほどの痛みがあります。
▼ イチゴ舌
舌に“いちご”ような“つぶつぶ”ができます。
▼ 発疹(はっしん、ほっしん)
溶連菌に感染すると、猩紅熱(しょうこうねつ)といって、体や手足に小さくて赤い発疹が出ます。
発疹には“かゆみ”が伴い、1週間程度で指先から皮がむけてきます(落屑、らくせつ)。
以上のように、
「熱が出て、のどが痛くて、発疹が出る」
というのが、溶連菌の主な症状になるのですが、
大人の場合は体力や抵抗力があるため、子供よりも症状は軽い場合が多いようです。
■ 検査
医師が患者さんの年齢や熱、のどの赤み、体や手足の発疹を確認します。
溶連菌に感染している疑いがある場合、綿棒でのどの菌を取り、検査キットで調べます。
この検査は、5~10分程度ですぐに結果が分かります。
■ 治療
治療はお薬を飲んで溶連菌を退治するのが基本となります。
ペニシリン系抗生物質の入った抗菌薬が出されるので、それを5~10日間飲み続けます。
お薬を数日飲むと症状が和らぐので、
「もう治ったから薬はいいや」
と思いがちなのですが、体にはまだ菌が残っています。
溶連菌は、リウマチ熱や急性糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)、アレルギー性紫斑病(しはんびょう)などの重大な合併症(続発症)を引き起こすことがあります。
菌を確実に退治するため、症状が軽くなった後もお薬はしばらく飲み続けてください。
また、のどが痛くて食事をするのも辛いと思いますので、熱いものや辛いものは避け、ヨーグルトやうどんといった“のどごし”や消化のよいものを食べるとよいです。
■ いつから学校・会社に行ってよいのか?
溶連菌は抗菌薬を内服してから、24~48時間で感染力を失いますので、
医療機関を受診した日とその翌日が出席停止・出勤停止の目安となります。
(エ~、もっと会社休めないの?)
しかし、団体によっては独自の取り決めが存在することもあるので、その場合は学校や会社に確認するようにしてください。
出席・出勤停止期間が経過し、発熱や発疹といった症状が収まれば復帰となります。
■ 予防
前述したように、溶連菌は咳やくしゃみによって他人にうつります。
これを予防するためには、
□ マスクをする
□ 家族で同じコップや食器を使わない
ことを徹底しましょう。
■ まとめ
溶連菌は風邪と症状が似ているので、
「あれ? 風邪かな?」
と油断してしまいがちですが、放置すると重大な病気の原因となることがあります。
しっかりと予防と治療を行っていきたいものですね。