著作権とは何か?をわかりやすく解説するシリーズ第4弾です。
この連載を始めた当初は、まさかこんなに回数を重ねるとは思いもしませんでした。
著作権って、すごく奥が深いんですね~。
さて、今回は前回に引き続き、著作権の種類についてお話していくのですが、
今までの記事をまだお読みでない方は、以下のリンクからどうぞ。
それでは、早速行ってみましょう!
著作権とは何か?(続き)
口述権
第二十四条 著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。
言語の著作物とは、小説や脚本、論文、講演などを指します(第十条 一)。
また、口述とは、朗読などの方法によって、著作物を口頭で伝えることです(ただし実演を除く。第二条 十八)。
ここで気になるのは、
「子供たちに絵本の読み聞かせをしたら、違法になるのか?」
ということです。
これについては、以下の条文があります。
第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(中略)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
要するに、
の3つを満たせば、絵本の著作権者の許諾なしで読み聞かせをすることができます。
ただし、絵本を拡大したり、紙芝居や人形劇に形を変えたり、読み聞かせ動画を配信したりするときは、
著作権者の許可が必要になりますので注意してください。
展示権
第二十五条 著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。
美術の著作物とは、絵画や版画、彫刻などの作品のことです(第十条 四)。
著作権者はこうした美術品や写真を原作品で展示する権利を持っています。
ここで一つ疑問に浮かぶのが、
「代金を支払って購入した絵画を展示するときも、著作権者の許可が必要なのか?」
ということです。
これについては、次の2つの条文が参考になります。
第十八条 2 著作者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる行為について同意したものと推定する。
二 その美術の著作物又は写真の著作物でまだ公表されていないものの原作品を譲渡した場合 これらの著作物をその原作品による展示の方法で公衆に提示すること。
第四十五条 美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は、これらの著作物をその原作品により公に展示することができる。
2 前項の規定は、美術の著作物の原作品を街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合には、適用しない。
一言で言ってしまえば、絵画を買った時点で、展示権も購入者に移転しているということです。
ですので、購入した絵画は自由に展示することができます。
ただし、公園などの屋外に出しっぱなしにするような展示の仕方は認められていません。
頒布権(はんぷけん)
第二十六条 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。
頒布とは、複製物を公衆に譲渡し、または貸与することです(第二条 十九)。
「映画をDVDにして、売ったりレンタルしたりする権利」
と考えればわかりやすいと思います。
譲渡権
第二十六条の二 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(略)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
2 前項の規定は、著作物の原作品又は複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。
一 前項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された著作物の原作品又は複製物
譲渡権とは、映画以外の著作物について、その原作品や複製物を売る権利です。
「音楽CDの販売」をイメージすると分かりやすいです。
この譲渡権は、無制限に認められているわけではなく、
一度、正しいルートで販売された著作物に対しては適用されなくなります。
すなわち、購入したCDを聞き終わった後に中古ショップに売ったり、
中古ショップが買取をしたCDを販売したりすることは違法にはならないということです。
譲渡権がこのように制限されている背景としては、市場には膨大な数のCDが流通しているため、
転売行為にまでいちいち許諾を求めていると、円滑な商取引の妨げになるからです。
そのため、著作者の利益は、最初にCDを譲渡することで回収できたと考え、
目的を果たした譲渡権は消滅するとされているのです。
このような考え方を権利の消尽(しょうじん)といいます。
なお、違法コピーされた海賊版CDを販売するのは、当然違法になりますので、
その点はお間違えのないように。
まとめ
それでは、今回出てきた著作権の種類をもう一度簡単にまとめてみましょう。
・口述権 … 言語の著作物を営利目的で朗読してはいけない。
・展示権 … 購入していない美術品や写真を無断で展示してはいけない。
・頒布権 … 映画を複製した物を、無断で販売・レンタルしてはいけない。
・譲渡権 … まだ正規に販売されていない著作物を無断で譲渡してはいけない。
ということですね。
次回は、著作権の残りと、字数に余裕があれば、著作権の制限について取り上げたいと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!