ソフトバンクの孫正義社長(兼会長)は、
「AIを制するものが未来を制する。起きるであろう未来をしっかり見据え、備えることが重要だ」
と述べ、AI関連企業を次々と傘下に収めています。
しかし、そもそもAI(人工知能)とは何なのでしょうか?
また、人工知能にはどのような種類があり、それらを利用することには、
どのようなメリットや危険性があるのでしょうか?
今回は、世界を大きく変えるであろうAIについて、現状と未来を見ていきたいと思います。
人工知能とは?そのメリットと危険性。AIに仕事を奪われる?
人工知能とは?
人工知能は、英語で「Artificial Intelligence(AI)」といいます。
「人工知能」という言葉は、専門家の間でも様々に解釈され、厳密な定義は定まっていません。
しかし、おおよそ以下のような意味で捉えられることが多いようです。
人間と同様の知能を人工的に実現したソフトやシステム、または、それを研究する分野。
ここでいう「人間と同様の知能」とは、
・論理的に推論を行う。
・経験から学習する。
・問題を解決する。
・物事を認識する。
・新しいものを創造する。
といった知的活動を指します。
人工知能の種類
この人工知能は、以下の二種類に大きく分けることができます。
・特化型人工知能
・汎用人工知能
まず、特化型人工知能とは、特定の分野の知識を学習させ、一つの機能に特化して活用されるものです。
Googleが開発した囲碁AIの「AlphaGo(アルファ碁)」は、韓国のプロ棋士に勝利して話題になりましたし、
自動運転AIや画像識別AIなど、特化型人工知能は、その専門分野においては
驚異的なパフォーマンスを発揮します。
しかし、その能力はあくまで一つの領域に限られ、「囲碁AIに将棋もやらせる」といった他の分野への応用はできません。
現在、社会に浸透しつつあるAIは、全てこの特化型になります。
これに対し、汎用人工知能とは、特定の機能に限定されず、人間のような自意識を持って、
幅広い仕事をこなせるAIのことです。
映画に登場する「暴走して人類に反乱を起こすロボット」としてイメージされるのは、こちらのAIになります。
しかし、現在、この汎用人工知能は実現しておらず、現存するAIは全て特化型人工知能となっています。
人工知能のメリット
次に、人間が人工知能を利用するメリットについて見ていきたいと思います。
AIの利点としては、以下のようなものが挙げられます。
人手不足の解消
少子高齢化の進展により、様々な業種で人手不足が見られるようになりました。
人工知能ロボットを導入することで、この問題を解消することができます。
例えば、「はま寿司」では感情認識ロボット「Pepper」が受付・座席案内を行っています。
これにより、数少ないスタッフが会計やテーブルの片付けに集中できるようになったそうです。
このほかにも、掃除ロボットや自動運転ロボット、介護ロボットなど、
人材が不足している分野において、人工知能の活躍が期待されています。
生産性の向上
人工知能の長所は、人間のように疲労を感じたり、モチベーションが低下したりしないことです。
また、一度学習した作業は、高速かつ正確に処理することができます。
そのため、組織内の単純作業やルーチンワークを人工知能に置き換えることで、
生産性の向上や人件費の削減を実現できます。
ビッグデータの解析と予測
ビッグデータとは、一般的なデータ管理ソフトで扱うのが困難なほど巨大で複雑なデータのことです。
人工知能によるビッグデータの解析・予測機能を活用することで、市場動向や顧客ニーズの変化をいち早く察知できたり、
科学研究において、人間が気づかないような特徴を発見したりすることが可能となります。
人工知能の危険性
最後に、人工知能の発展が抱える危険性について見ていきましょう。
主なリスクとしては、以下のようなものが考えられます。
AIに仕事を奪われる
AIのメリットの所でもお話しましたが、人工知能は疲れを知りません。
24時間、365日働かせても文句を言わず、しかも仕事は人間より速くて正確です。
そうなると、将来、機械によって人類の仕事が奪われていくことが考えられます。
それは、携帯電話の普及でカメラや時計が売れなくなり、
インターネットの普及で本が売れなくなった状況に似ています。
結果として、人の仕事は、娯楽と芸術の創作活動のみとなり、働かなくなった人間が堕落してしまうかもしれません。
人類に悪意を持ったAIの出現
現在も、コンピューターウイルスやハッキング、オンライン詐欺など、
インターネットを利用した犯罪が社会問題になっていますが、
人工知能も悪意のある人物によって悪用される危険性をはらんでいます。
それは、映画のような殺人ロボットの出現かもしれませんし、
軍事兵器の暴走による戦争状態かもしれません。
自動車や原子力などにも言えますが、どのような技術も正しく利用すれば
人々に恩恵をもたらしますし、悪用すれば悲劇を生み出すのです。
人工知能を独占する企業や国の出現
「Windows」の登場により、パソコンは爆発的に普及しました。
このOSを開発したマイクロソフトの市場シェアは90%にも達します。
これと同様のことが、AI技術でも起こり得るということです。
世界で最も早く、汎用人工知能を開発した企業や国が、市場を独占する可能性があります。
これらの企業や国が、獲得した莫大な利益を世界中に還元してくれれば問題ありませんが、
そうでなかった場合、たった一つの企業や国によって世界が支配されてしまうかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
人工知能によって一層便利で暮らしやすい社会になることを期待する一方、
AIに仕事を奪われたり、悪用されたりすることに関しては不安になってしまいます。
人間が、人工知能をうまくコントロールしながら利用していければよいですね!
次回は、「AIによってなくなる仕事、残る仕事」について解説する予定です。
どうぞ、お楽しみに!