著作権とは何か?をわかりやすく解説するシリーズ第3弾です。
第1回では、著作権法の目的や著作物とは何かという定義、
第2回では、著作者人格権と替え歌の問題について述べました。
今回は、著作者が持つもう一つの権利である著作権についてお伝えしていきます。
著作権とは何か?
前回お話した著作者人格権が、著作者の人格的利益を保護する権利であるのに対し、
著作権は著作者の経済的利益を保護する権利となります。
つまり、著作者の心を守るのが著作者人格権、
著作者の収入を守るのが著作権、ということです。
複製権
第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有*1する。
複製権とは、著作物を無断でコピーされない権利ですね。
複製とは、写真に撮ったり、コピー機で複写したり、録音・録画したりして、
似たような物を作ることです。
ちなみに、書籍を裁断・スキャンして電子データ化する(「自炊」と呼ばれる)行為も、この複製に当たります。
*1 専有 … ひとりじめすること。
上演権及び演奏権
第二十二条 著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。
上演権・演奏権とは、脚本を舞台や映画、放送などで上演したり、楽譜を演奏したりする権利です。
CDやDVDを再生することも含まれるので、お店の中で音楽を流したり、
結婚式でBGMを使用したりする時も著作権者の許可が必要となります。
上映権
第二十二条の二 著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。
上映権とは、著作物をスクリーンやディスプレイに映写して、一般の人に見せることです。
かつては、映画のみに認められていた権利ですが、現在では、
ビルの壁面にある大型テレビやカラオケ店のディスプレイに著作物を映すことも対象になっています。
公衆送信権及び伝達権
第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。
公衆送信とは、無線や有線の通信を使って、著作物を一般の人に送信することです。
具体例としては、テレビやラジオ、ケーブルテレビなどが該当します。
また、自動公衆送信とは、一般人の要求に応じて自動的に送信を行うことで、
インターネットのファイル共有ソフトや動画サイトなどがこれに当たります。
送信可能化とは、こうしたサイトに音楽や動画などをアップロードし、送信可能な状態に置くことを指します。
伝達権とは、送信された著作物を受信装置を使って一般の人に視聴させる権利です。
ただし、放送*2される著作物については、営利目的でなく、無料で行う場合には、
受信装置を用いて一般に伝達することができます。
ですので、飲食店やサウナに置いてあるテレビは伝達権の侵害とはならないわけです。
*2 放送 … 一般の人が、同一内容を同時に受信するような送信。
まとめ
いや~、だんだん難しくなってきましたね。
ここで、今回出てきた著作権をもう一度簡単にまとめておきましょう。
・複製権 … 著作物を無断で複製してはいけない。
・上演権、演奏権 … 脚本を無断で演じてはいけない。音楽を無断で演奏してはいけない。
・上映権 … 映画などを無断で一般人に見せてはいけない。
・公衆送信権、伝達権 … 著作物を無断で送信してはいけない。送信された著作物を無断で一般人に視聴させてはいけない。
ということでした。
これ以外にも、著作権には様々な種類があるので、次回はその続きを見ていきたいと思います。
どうも、ありがとうございました!